仙石線の前身である宮城電気鉄道は東北でもトップクラスの有力私鉄として知られ,車両面に関しても大手にも負けないような設備の車両が運用されていました。さて,宮城電気鉄道時代には何両の車両が在籍していたのでしょうか。
地方私鉄でも比較的先進的な車両達だった
まず,宮城電気鉄道が開業した当初は木造車が運用されたものの,その後の延伸後の増備車両は全て半鋼製車両で,仙台地下駅での屋根高さでの室内高さを確保するために,当時としては珍しいシングルルーフの屋根が開業時の木造車体の車両でも使用されていました。車内は通勤電車のそれであるロングシートが多かったのですが,モハ220やモハ800のように観光仕様に特化した車両はクロスシートとし,前者は展望列車として2等合造の宮電御自慢の観光列車として,後者は15m級ながら半流線型を代表するロマンスカーとして知られていました。
それぞれの車両数
ここで,宮城電気鉄道で運用されていた車両達,特に旅客車に絞って両数を見ていきましょう。
モハニ101(→クハニ7300) 3両
モハニ201・モハ220(→クハ6300) 2両
クハ301(→琴電2000形・琴電67号) 3両
クハ401(→クハ6310) 2両
モハ501(→クハ6320) 2両
モハ601(→クハ6320・モハ2310) 2両
クハニ701(→クハニ7310) 2両
モハ801・880・モハ810(→クモハ2320・2340) 11両
モハ901(元国鉄モハ1) 1両
と,宮城電気鉄道では買収時点で合計24両の電車が運用されており,モハ901を除いて全てが自社発注でした。しかし,実際には28両が宮城電気鉄道として発注・運用していました。何故ここで差異が生じているのでしょうか。これはモハ810は宮城電気鉄道名義で発注したものの,買収の時点でまだ落成しておらず,仙石線の混雑対策として国鉄が宮城電気鉄道から譲渡してもらう形で購入した為です。
画像出典 Wikimedia commons spaceaero2様
終わりに
宮城電気鉄道は路線設備から日本一の臨海私鉄とも称された時がありその名に相応しい地方私鉄としては当時先進的な車両を走らせていました。多くが60年代までに廃車となったものの,中には21世紀になるまで走っていた車両も存在していました。