徒然なるままに仙石線

このブログでは仙石線に関するあれこれを解説、考察などをして行きます。

仙石線の両数は何両が適切なのか

仙石線では現在、4両編成の列車のみが運用されていますが、かつては2両編成が運用されていました。何度か2両が復活しているのですがいずれも廃止となっています。仙石線はどの両数が一番適切と言えるのでしょうか。

「鳴瀬川が境」

仙石線の前身である宮城電気鉄道の創業者である山本豊次は全通した宮電を乗り通す客は殆どおらず、仙台・塩釜付近の利用者が多く、区間利用者が集中していた状況を見て、「鳴瀬川を境に旅客の移動が分かれている」と評したそうです。実際乗っていると鳴瀬川やその支流である吉田川を跨ぐ区間で特に利用者が少ないという印象を受けます。一方、川を跨いだ矢本〜石巻間は東松島の中心部や石巻近郊である事もある為一定の利用者がいるようにも感じられます。この事から両端区間の利用者数の様子は高城町を境に大きく変わっているのだと考えられます。

2両で走った車両達

かつて仙石線では閑散時間を中心に2両が存在し、72系ら旧型国電や105系が運用されていました。72系は2両単位でも走れる為4両編成と2両編成の両方が陸前原ノ町には在籍していました。しかし72系の2両は4両に比べれば少数派で運用面でも少々扱いが難しかったといいます。また105系が導入された背景にはこの仙台近郊と末端区間の極端な利用者の差に対応、末端区間専属とする為に導入されたのです。当初は末端区間での運用が中心、ラッシュ時の仙台直通の時は2両を繋いだ4両で運用、という運行体型でしたが90年代にもなると2両のまま仙台近郊で運用する姿も見られました。閑散時間帯のみの運用であったとはいえ仙台の中心部を行く仙石線、2両はあまりこの区間では適当ではなかったという印象を受けます。結果的に105系は103系に置き換えられ登場から11年後の1998年に廃車となっています。

どのような編成が一番適切なのか

私なりの結論としてはやはり4両固定編成が一番仙石線には適切ではないかと考えます。理由としては仙石線の設備にあると思われます。72系や105系の2両が追われたのは編成の少なさでした。短編成を効率的に運用するには両者とも適切な編成では無かったと言えます。仮に全編成を2両にしたとして、仙台近郊と末端区間での利用数を考え分割・併合を行うとしても何処で行うのかという問題が生じます。仮に行うとしたら東塩釜か高城町でしょうが、高城町は1面2線、留置線も無い(一本伸びている留置線は保線用車両が使用)為分割・併合の上ではあまり適切とは言えません。一方東塩釜はまだ留置線も多く、2面3線ですので一見するとここで行うのが適切だと思われます。しかし松島海岸や高城町までは松島への観光需要も多く、4両編成が直通しても十分な需要の為あまり考えにくいです。だったら多層建て列車にするのはどうかとも考えられますがやはり高城町駅の都合を考えるとこちらも難しいと思われます。2両を導入する上でもう一つ適切考えられるのは系統分割です。しかしこれも仙石線の設備を考えるとあまり好ましいては言えなさそうです。分割する上で筆頭になるのはこちらも東塩釜か高城町でしょうが、高城町はその設備の狭さ、東塩釜分割は松島への観光需要の弊害となる可能性が考えられます。系統分割という事からも利用者は必ず東塩釜で乗り換え無ければならず、松島海岸方面の観光客にとってはやはり一手間かけてしまいます。205系の表示も、高城町以遠に行く列車は全て「松島海岸」という表示を併記している事からも松島まで直通させるという意義はやはり大きいと考えられるのです。この事からも両数の需要過多や編成の非効率さのリスクを抱えながらも4両固定編成で運用させるのが一番適切では無いのかとかと私は思うのです。

終わりに

歴史的背景も踏まえて、今回は編成両数を考察してみました。今回このよう考えていく中で、需要に見合った編成を適切に組むという事はとても簡単な物では無い事を改めて実感します。