徒然なるままに仙石線

このブログでは仙石線に関するあれこれを解説、考察などをして行きます。

HB-E210系は何故2両編成で製造されたのか

現在,仙石東北ラインの快速列車専用車として運用されているHB-E210系ですが,基本は4両編成を組んで運用されていますが車両の編成は2両編成です。一体何故なのでしょうか。

HB-E210系誕生

2014年末に総合車両製作所の横浜事業所より出場したHB-E210系は,東北地方の車両としては初となるsustinaと呼ばれる独自のステンレス車体の車両として登場しています。同車は仙石東北ラインの快速として全線復旧した仙石線と東北本線を直通し仙台〜石巻間を最速で結ぶ事を使命としており,それに相応しい高い性能の車両が求められました。しかし仙石線と東北本線は電圧が異なる為異なる電圧を直通可能という特性に見合った車両が必要となりました。ここで考えられるのは交直流電車ですが,交直流電車を導入しようにも高額である事から架線の有無に関係無く走れる気動車での導入となりました。さらにハイブリッド方式とする事で一般の電車並みかそれ以上の性能で運用する事が出来る様になったのです。

何故4両固定編成としなかったのか

現在,HB-E210系が運用される列車は全て4両編成なのですが,HB-E210系は4両固定ではなく2両編成としてます。4両固定編成としても良かった筈ですが,一体何故なのでしょうか。実際,観光列車用ではありますがリゾートしらかみ及び海里で使用されるHB-E300系は4両固定編成を組んでおりハイブリッド気動車で4両固定編成の全く実績が無い訳ではありません。HB-E210系が4両固定で落成しなかったのには車両運用での効率性を優先したからと考えられます。仮に4両固定編成としたとすれば運用範囲は仙石東北ラインの仙台〜女川間や仙石線,東北本線等に限られ,運用出来る範囲を縮めてしまうと考えられるのです。これは何故かといえばHB-E210系が所属する小牛田運輸区の車両運用の管轄は主に石巻線や陸羽東線。これらの路線はラッシュにのみ2両以上の列車が走る路線であり増解結をしながら車両運用を行なっています。HB-E210系が4両で導入されていれば必然的に固定編成のみとなりこのような気動車の特性ともいえる組成の自由度が薄れ利用者も少なくなる日中では過剰輸送となりかねません。実際こうした運用効率の悪さからか気動車に中間車という事例は決して多い物ではなく,現在特急型車両を除いて中間車のある現役の気動車はJR北海道のキハ201くらいと言われています。HB-E210系は仙石東北ラインに留まらず小牛田運輸区が担当する路線でも運用する事が想定されており実際行先表示は運用される仙石東北ラインや仙石線,東北本線,石巻線の物に留まらず普段は運用されない陸羽東・西線になんと奥羽本線の行先まで収録されています。こういった気動車ならではの効率性を重視した結果,HB-E210系に中間車が登場する事は無く、2両編成で登場したのだと考えられます。

終わりに

HB-E210系の基本の運用範囲だけ見れば4両固定編成でも良かったと思うかもしませんが,気動車で製造した利点を活かし,小牛田運輸区に所属する気動車が担当する路線にも将来充当させる為にもあえて2両編成で製造したのだと思われます。完全な専属として製造されていたら4両固定編成だったのかもしれません。

追記 コメントの情報より

…とこのように考察をした物の,当記事のコメント欄に書かれた情報を紹介すると,HB-E210系が2両編成になったのは効率的な運用を行う為,ではないのだそうです。HB-E210系は元々3運用ある運用を2+2両×3編成で基本回しており,その運用を終日運用するという運行形態を取っています。そのような運用形態の為定期検査分と入場用の最低2本の予備車が必要になります。その場合,仮に4両固定とした場合,予備車を含めて5編成,計20両が必要となります。それに対し2両だと8編成,4両だと4編成のみで済みます。基本は4両単位で回せるものの,検査入場となると2両単位で組み替えられる利点を利用し1日単位でそれぞれの編成を組み換えているのです。さらに2両だと中間車を製造しなくても良いという利点があり車両総数を5編成持つよりも20%減らせ,コストの削減にも繋がるという事なのです。

今回の記事は私の調査不足による誤情報をお伝えした事をお詫びすると共に,コメントで上記情報を下さったGG様に多大な感謝を申し上げます。