徒然なるままに仙石線

このブログでは仙石線に関するあれこれを解説、考察などをして行きます。

仙石線仙台駅・あおば通駅の発車メロディーはいつ導入されたのか

現在、仙石線ではあおば通駅宮城野原駅石巻駅発車メロディーが使用されています。その中で一番最初に使用を開始したのはあおば通駅で、仙石線の仙台駅が地上にあった時のメロディーをアレンジした物が採用されています。あおば駅、旧仙台駅で使用されたその発車メロディーはいつから使用されているのでしょうか。

発車ベルから変わる

かつて、仙台駅の仙石線のりばが地上にあった時採用されていたのは発車ベルでした。しかし、この発車ベルの音はとても甲高い物が古くより使用されており、駆け込み乗車や騒音に繋がっていました。「仙石線今昔物語」という映像にも地上時代の仙台駅が登場し、発車ベルを使用するシーンがありますがベルの音はとても高かったように感じます。利用者からは「耳障りだ」と東北地域本社に苦情が入っており、東北地域本社は何とかこれを改善しようとします。このような動きは80年代の終わり〜90年代にかけ全国のJRで起こっていましたが東北地域本社はいち早く行動に出たのでした。新たな発車予告音に求められたのは明瞭かつ不快にならずに発車を予告する、という事でした。そこで東北地域本社は仙台を代表する作曲家の1人である榊原光裕氏に新たな発車予告音の作曲を依頼しました。そして1988年11月25日より発車ベルに代わり発車メロディーが導入される事になったのです。

JR初の発車メロディー

榊原光裕氏は学生時代に交流があったさとう宗幸氏の代表曲である「青葉城恋唄」をモチーフにして発車メロディーを作曲しました。青葉城恋唄の原曲の前奏をアレンジし、後半ではサビの「時はめぐり、また夏が来て…」の歌詞をイメージしたパート、最後には発車ベルの要素にも近い鐘の連打で終わります。ここまででおよそ30秒、発車ベルを鳴らしていた頃よりも圧倒的に長い発車メロディーです。これは課題にもなっていた駆け込み乗車防止という要素が強く実際発車メロディー導入後は発車まで余裕がある事から駆け込み乗車の割合は導入前と比べ格段に下がったのです。こうして仙石線仙台駅に採用された発車メロディーは成功し、翌年には東北本線系統のホームにも同様の発車メロディーが導入されます。そのメロディーは楽都仙台のアピールには申し分無い物でした。曲名は「仙台1番」。よく青葉城恋唄と言われる事がありますが実際にはモチーフにした、というのであり厳密には異なるそうです。余談にJRグループ初の発車メロディーと言われる新宿・渋谷駅の発車メロディーですが、それよりも先に採用していたにも関わらずJR初と語られる機会があまり多くないのは実はこの発車メロディーを採用した時にはまだ仙石線独自の発車予告という事でまだ他に広がる機運は無かったから、というのが理由の一つに挙げられるそうです。

受け継がれる発車メロディー

1988年より仙石線利用者に親しまれて来た発車メロディーですが、仙石線立体交差化工事がいよいよ佳境に入ると地上ホームの役目も終わりに近づきつつありました。仙台駅の代わりに新たな起点となるあおば通駅発車メロディーを使用する事になりその時にこの発車メロディーを導入する事となりました。しかし、あおば通駅は地下駅として開業する為、地下駅にも響くようにこのメロディーがアレンジされ、透き通るような新バージョンで使用する事となりました。2000年3月10日、仙石線地上駅最終日。23時30分の東塩釜行きを持って最初の発車メロディーは使用終了、翌日よりあおば通駅で新しい発車メロディーが使用開始され、現在に至るのです。

終わりに

現在、宮城県内で採用されている発車メロディーでは最古となっている発車メロディー。現在でもこの発車メロディーは「楽都仙台」を象徴する存在となっています。