徒然なるままに仙石線

このブログでは仙石線に関するあれこれを解説、考察などをして行きます。

2Wayシート車が今後復活するとは考えられるのか

205系3100番代の一部編成には石巻寄りのクハに2Wayシートというクロスシートとロングシートを転換出来る可変座席が導入されています。その編成は専用の塗装を纏っており他の205系とは違う風格を持っています。この機構が後継に導入される事はあるのでしょうか。

2Wayシートの歴史

元々2Wayシートのようなデュアルシート車は1970年代の終わりに吹田工場で72系のクハを可変仕様にしたのが最初でした。しかしこれはロングシートをそのまま可変座席仕様としたような物で205系のような本格仕様ではありませんでした。初めて実用化に取り付けたのが近鉄。2610系での改造が成功し5800系で量産化されました。

仙石線でも観光需要があることから新型車導入に合わせて観光用の車両を導入したいと考えていました。しかし仙石線の車両編成には余裕があるとは言えず一般車両の中に組み込む事としました。しかしこれも完全なクロスシートとすると仙石線の朝夕の混雑に耐えられない。だったら可変座席する事でラッシュはロングシート,日中はクロスシートとする事で解決する事としました。こうして2002年のM2編成より石巻寄りクハに2Wayシートが導入されました。この採用例は近鉄に次いで2番目,JRとしては初の物でした。

2Wayシートは復活する事があるのか

さて,JR初として登場した2Wayシートですが,これが後継に受け継がれるのでしょうか。結論としては受け継がれる事は無いと思っています。まず第一に快速列車は既にHB-E210系に譲っている事。2Wayシート車両が導入された目的に快速列車と通勤列車の兼用を行う事が挙げられました。そうなればもう既に快速列車の役目をHB-E210系及び仙石東北ラインに譲った今となっては復活させる意味は皆無と思われます。HB-E210系には観光需要も考慮しE721系と同様の車内とした為ボックスシートが存在しています。

もう一つの理由として挙げられるのがそもそも2Wayシートの扱いが難しかったという事が挙げられるでしょう。仙石線は元々通勤需要と観光需要が非常に混在している路線で快速列車の運用でも昔からとても苦労して来た歴史を持っています。その中に2Wayシート車両を入れていたのです。その為初めは目論見通り朝にロングシート,昼にクロスシートとしていたのを一日中ロングシートだったりまたはその逆だったり,海側をクロスシート,山側をロングシートとする物だったりと試行錯誤を繰り返していたのです。そして2010年以降には海側をクロスシート,山側をロングシートとする仕様が常態化しており半ば可変座席の利点を失ってしまいました。そして2015年,仙石東北ラインが開業して以降もそのままでしたが10月にはとうとう全座席がロングシート状態となりそれで固定化されてしまいます。この事からも2Wayシートの扱いにはとても手を焼いていたと思われるのです。既に仙石東北ラインもあり2Wayシートの扱いが難しかった事からも後継にも2Wayシートが採用される事は無いと思われるのです。

終わりに

2Wayシートはとても先進的な設備として導入されましたが既に使われていない事を考えると復活は絶望的だと考えられるのです。この塗装も一般用との区別もあるためこの塗装が後継に受け継がれる事も無いと思われるのです。